2008年04月22日

地球をしばらく止めてくれ ぼくはゆっくり映画を観たい

寺山修司という人はあまり好きな人ではないのですけれども、細部の趣味というか細かい考え方が一致することが多いので不思議です。

「地球をしばらく止めてくれ ぼくはゆっくり映画を観たい」という言葉は、その寺山修司の書いた映画論のタイトルです。

記憶だけで書くので勘違いもあるかもしれません。

たしかその本の中だったと思うのですが、太宰治の「葉」の中の次の一節
『ノラもまた考えた。廊下へ出てうしろの扉をばたんとしめたときに考えた。帰ろうかしら。』
を引いて、「太宰とはことごとく意見を異にするが、これだけは意見があう」と書いています。
私は寺山よりは太宰のほうがずっとしっくりくるのですが、この一節にはやはり意見を同じくします。

そういえばこの「葉」の中からは次の部分
『死のうと思っていた。ことしの正月、よそから着物を一反もらった。お年玉としてである。着物の布地は麻であった。鼠色のこまかい縞目(しまめ)が織りこめられていた。これは夏に着る着物であろう。夏まで生きていようと思った。』
を北村想が「怪人二十面相・伝」の中で使っていました。

さて、「地球をしばらく止めてくれ ぼくはゆっくり映画を観たい」の中で一番印象に残っているのは、「シベールの日曜日」のはじめて主人公と少女が出会う場面についての記述です。
主人公が泣いている少女にガラスのカケラを渡します。
主人公「きれいだろ。星のカケラだよ。君にあげるよ」
少女「そんな大切なものもらえないわ」
最後主人公は悲しい結末を迎えるのですが、寺山は、
「ガラスのカケラを星のカケラと思えるような純粋な心の持ち主はこの世界では受け入れられない」
と書いています。

「シベールの日曜日」はほんとうにきれいな映画で、その中でも私の一番好きなシーンを寺山が肯定的に評価していたのをうれしく思いました。

ところで以前深夜放送で「シベールの日曜日」が放映されたことがありました。すると何ということかこのシーンはカットされていました。よりによって何故このシーンをカットしてしまったのか。

この項のタイトルは、
「きれいだろ。星のカケラだよ。君にあげるよ」
でも良かったかもしれません。

なお、私としては次の言葉のほうがしっくりします。
「地球をしばらく止めてくれ ぼくはもっと本を読んでいたいんだ」
 
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ハーディ・クリューガー,パトリシア・ゴッジ,ニコール・クールセル,ダニエル・イヴェルネル,アンドレ・ウマンスキー,セルジュ・ブールギニヨン
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posted by ふぁいなる at 00:00| Comment(0) | 私の好きな言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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